showcase #11 “Definitely Local”
curated by minoru shimizu
いくしゅん(機材協力:CANON)
2023年4月14日(金)—5月14日(日)
会期中 金・土・日 12:00-18:00 開廊
アポイントメント 承ります
入場料無料
KG + 2023参加
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2023年4月14日より 毎年恒例となりました清水穣氏のキュレーションによる写真・映像に特化したshowcase展を開催します。今回で11回目となる「showcase #11 “Definitely Local”」には いくしゅん が選ばれました。
「生活の中で『写真にしたら面白い』と思った場面をデジタルカメラで『普通に撮る』」というのが、いくしゅんの基本スタイルです。アーティストステイトメントも無いし、コンセプトも特に持っていないという いくしゅんですが、特徴的なのは被写体が「動く/動いているもの」であり、その被写体の動きを予測しつつ、絶妙な瞬間を切り取り、作品としているところでしょう。いくしゅんの 写真の画面上 に現れているのは、私たちが日々の生活の中見逃しているシーンであり、彼の言う「普通に撮る」は普通の人の普通ではないのかもしれません。
本展では300点に及ぶ作品を展示します。第一展示室では、自宅近くの行きつけの店・友人宅やラグビー場までの道中・ご実家の近所などで撮影された作品、第二展示室では、上海・重慶など中国旅行中に撮り溜めた作品、地下のブラックキューブではスマートフォンやデジタルカメラで撮影した10秒〜2分の短い動画をつないだ映像作品(約30分) を紹介致します。作品に潜むストーリーや、見ているようで実は見えていない日常での出来事を探しながら、一枚一枚の写真を隅から隅までお楽しみ下さい。
皆様の御来廊をお待ちしております。
ロウ 直美 | eN arts
*eN artsは、2023年4月14日より開催されますKYOTOGRAPHIE 2023 KG+にも参加しております。
詳細はこちら:https://kgplus.kyotographie.jp/exhibitions/2023/ikushun/
→過去のshowcase展はこちらからご覧いただけます。
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showcase #11 “Definitely Local” curated by Minoru Shimizu
帰ってきた いくしゅん
いくしゅん(1980- )は2009年と2011年にキヤノン写真新世紀で佳作を受賞、2013年にshowcase #2に登場し、2015年、写真集『ですよね〜』(青幻舎)で注目を集めた。が、その後は、ブログに散発的に日々の写真を載せるほか、発表の機会に恵まれてきたようにも見えず、沈黙のままに8年が経ってしまった。ブログに掲載された近作を見れば、快と不快が同時に押し寄せるそのパワーは健在なので、showcase #11では久しぶりにいくしゅんに再登場してもらおうと思い連絡したところ、快諾してもらえた。
いくしゅんの写真は、いわゆるストリートスナップのスタイルを取っている。それはたしかに「決定的瞬間」を映し出し、「トマソン」あるいは「VOW写真」の要素を備えてはいるが、決してそれらと同じにならない。四角いラグビー場に散ったプレイヤーたちの個々の動きを読むフルバックのように、世界を「切り取る」四角いフレームの隅々まで観察し、次の瞬間を読んでシャッターを切る運動神経や、被写体をさまざまに「切断」する一種の暴力性、主となる被写体が風景やオブジェではなく、基本的に動く物(人間と動物)である点、そしてその動物や人間の視線に対する敏感さは、ギャリー・ウィノグランドに通じる質であるが、ウィノグランドが多用したティルト(カメラを傾けること)をいくしゅんは決して用いないし、ウィノグランドの写真がときに見せつける階級や人種の激しい格差とは対照的に、いくしゅんの写真は、日本のフラットな日常世界のなかの、小さな弛みや綻びを、飽きることなく執拗に映し出していく。その弛みや綻びに、なにか普段は隠れている真実の世界が現れるわけではない。いくしゅんの写真が映し出すのは、世界はつねにどこか弛み綻んでいるという事実だけである。
清水 穣
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-展示風景-