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showcase #9 “visions in and out” curated by minoru shimizu

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showcase #9
 “visions in and out
curated by minoru shimizu

岡本 明才  佐藤 華連

2021年4月2日(金)—4月30日(金)
会期中 金・土・日 12:00-18:00 開廊
アポイントメント 承ります
入場料無料

誠に残念ではございますが、新型コロナウィルス感染拡大予防策の一環として本展のオープニングレセプション開催は見送らせていただきます。ご了承下さい。

eN artsでは、清水 穣 キュレーションによります、写真に特化したグループ展 “showcase #9” を開催いたします。展覧会のタイトルが示す通り、現代若手写真家の「ショーケース」となるこの展覧会は2012年からスタートし、今回がシリーズ9回目となります。

本展のテーマは「visions in and out」です。視覚がとらえる光の像としてのビジョンをピンホールカメラという原点に立ち戻って制作を続ける岡本明才氏。レンズを通して見える風景に自身の内面が反映されることにより目の前にある風景が内なる風景に変化するという佐藤華連氏。両氏がそれぞれに表現する「visions」をお楽しみ下さい。

eN arts | Naomi Rowe

*Press Release

 

showcase #9 “visions in and out”

2012年に、才能ある新人を紹介する小企画展として始まった「showcase」も今年で9回を数えます(詳細はeN artsのHP内アーカイヴをご覧ください)。今回のテーマは「VISION」。そこには二つの意味が読み取れます。1つはいわゆる映像という意味でのヴィジョンです。もう一つは、ヴィジョナリーというときの意味、つまり客観的には存在しないが特定の人にだけ見えるヴィジョンです。前者は暗室の中で、後者は頭蓋の中で生まれるわけで、どちらも「ヴィジョン」を生産するためには「閉ざされた場」を必要としています。この「閉鎖性」や「遮断」は、「外」の「現実」とどのような関係を結び、そこからどのような「ヴィジョン」が生まれてくるのでしょうか。今回のshowcaseには、それぞれの意味で興味深い制作を続けている二人の作家を選びました。

岡本明才(おかもとめいさい1971年生)にとって、現実の世界が「映像」へ転じる最も基本的な原理としてのカメラ・オブスクラとピンホールカメラは、尽きることのないインスピレーションの源泉です。岡本は、そこに独自の技術的工夫を加えて、驚くほど多彩なヴィジョンを制作してきました。闇の中に浮かび上がる鮮やかな映像は、現実の像というよりは夢の中の像のようですが、最も基本的な原理によって出現している像としては、こちらのほうがより純粋な現実の映像であるとも言えます。それは見慣れた「写真」や「映画」に堕落する以前の、光が像と化したそのままの「ヴィジョン」です。
多くの人が誤解していますが、ピンホールカメラにはピントというものはありません。そのヴィジョンは、ピンホールを通過した光の点の集合体であり、点が小さければ画像は稠密になり、大きければ希薄になるのです。この原理は、ピクセルの原理に他ならないでしょう。最も原始的なカメラが、デジタル映像の原理に通じているのです。
数年前に「キヤノン写真新世紀」のポートフォリオ・レビューに参加した際に見せてもらった写真が、薄れることなく、私の記憶に焼き付いていました。

佐藤華連(さとうかれん1983年生)は、2010年「キヤノン写真新世紀」グランプリ受賞。showcaseの初回以来、久々の登場です。どこか不穏で寓意や比喩を秘めたイメージ群は、作家というフィルターを通過した現実の姿に他なりません。作家の二つのピンホール(両眼)を通過した光が、生身のカメラ・オブスクラ(頭蓋)の中に結んだ像なのです。

2021年4月  清水 穣

清水 穣(しみず みのる)
写真評論家、1995年『不可視性としての写真-ジェームズ・ウェリング』(ワコウ・ワークス・オブ・アート)で第1回重森弘淹写真評論賞受賞。以降、定期的にBT美術手帖、Art Itといった媒体や写真集、美術館カタログに批評を書いている。主な著訳書に『白と黒で:写真と』『写真と日々』『日々是写真』『プルラモン』(現代思潮新社);『ゲルハルト・リヒター写真論/絵画論』(淡交社)、『シュトックハウゼン音楽論集』(現代思潮新社)など。これまで Wolfgang Tillmans、森山大道、杉本博司、松江泰治、柴田敏雄、吉永マサユキ、安村崇といった写真家たちの写真集にテキストを提供している。

 

岡本 明才

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光の存在が視覚を成立させ
視覚から美の存在を想像し価値を創造する。
人はそれぞれ相対的に美を追求し
時代、主義、主観とともに美を変貌させていく

人が見ることのできない洞察される純粋な形の存在は
完全な暗闇の中にこそ存在する。
なぜなら、そこには時代、主義、主観が存在しない。

暗闇の世界に微かな光を与えると
おぼろげな形が生み出される。

人間の視覚では体験できない形
情報が少ないからこそ見ることのできる世界
いままで見ていると思っているものは
おぼろげな形が数多な光の積層である。

暗闇が人々の視覚を失わせ
暗闇から光が視覚を生み
暗闇の存在を認識させる光こそが
暗闇の次に美しい光である。

*岡本明才 CV

佐藤 華連

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感覚に変化が起こす風景がある。
それは、自分の意識や記憶が対象とリンクして起こる化学反応から現れる。
私は、その風景を撮っている。

*佐藤華連 CV