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showcase#10 “反響する違和感 – Echoes of Alienation” curated by minoru shimizu

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showcase #10 “反響する違和感 – Echoes of Alienation
curated by minoru shimizu

平本 成海(御協力:PGI)
吉村 泰英プリント協力:CANON

2022年4月8日(金)—5月8日(日)
会期中 金・土・日 12:00-18:00 開廊
アポイントメント 承ります
入場料無料
KG + 2022参加

2022年4月8日より 清水穣氏のキュレーションによります 写真・映像に特化したグループ展 “showcase #10” を開催いたします。展覧会のタイトルが示す通り、写真及び映像の現代若手作家の “ショーケース” となるshowcase展は2012年以来毎年開催され、本展は10周年を迎える記念すべき展覧会となり、“反響する違和感 – Echoes of Alienation”という副題のもと平本成海と吉村泰英のお二人が選出されました。新聞の切り抜きや日々の生活など、日常のシーンから切り取られた写真であるにもかかわらず、どこか「違和感」を覚える作品群が エコー(反響)する様は コロナ禍のカオスを具現化しているかのようです。

このカオスが我々の新日常にならないことを願いつつ・・・

eN arts | ロウ 直美

*Press release

showcase #10 curated by Minoru Shimizu
-反響する違和感 Echoes of Alienation

あらゆる芸術表現に先立つ最もベーシックな世界、つまり芸術の0度としての「日常性」やあるがままの「日々」は、写真表現の本質とされ、その目的であり続けてきました。しかし、2020年以来のコロナ禍がわれわれに教えたことは、その最も基本的な世界が、じつにフラジャイルなものであり、いとも簡単にそして何の劇的効果も伴わずに、崩壊してしまうものだということだったでしょう。外出を禁じられたわれわれは、今更のように、自らの日常生活と向き合うことを強いられました。意識下でわれわれを包んでいた環境は、不自由な拘束衣へと変わり、あるがままの日々は、どこかへ消えてしまった、その一方で、執拗に続くコロナ禍は未だ新たな「日常」の座を獲得してはいない。いま、あるがままの日常とは「あるがまま」が消えた違和感にほかなりません。

10周年を迎えたshowcase#10では、この現況に写真で応える作家を2名紹介します。

平本成海(ひらもとなるみ、b.1984)は2019年第20回写真「1_WALL」展でグランプリ受賞。実は、aka山崎雄策としてすでに2015年、showcase#4 “construct”に参加しています。一人の人格の中で、この二人がどのように棲み分けているのかは、平本=山崎のみぞ知ることですが、作品から見ると、前者は撮影しないで写真を作るタイプ、後者は撮影してから写真を作るタイプと言えそうです。
われわれの「日常世界」は写真で作られている、という認識から出発して、平本成海は ―トーマス・ルフの新聞写真のシリーズのように― 地方紙に掲載された写真を切り取り、つまり本来の文脈から独立させ、そこに様々な操作を加えてその「日常世界」を異化した、その結果を、その日のうちにSNSにアップします。河原温の日付絵画date paintingsのように、制作は1日で完結しなければなりません。
じつは「コロナ禍」は写真には写りません(コロナ感染者は隔離され、「コロナ」の名称の元となった放射状の姿は電子顕微鏡写真)。そのとき、日常を異化するコラージュは、コロナ規制によって異化された現在の我々の日常とどう関わるのでしょうか。

 吉村泰英(よしむらやすひで、b.1993. https://yasuhideyoshimura.com/)は、2020年度キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。showcaseの新人として、本展では受賞作『馬の蹄』を展示します。どこにでもあるようなプレハブの小綺麗な家で、どこにでもいるような「僕」と「彼女」が、犬やうさぎが死ぬよりほかに起伏のない「平凡な日々」を上演し続けます。「馬の蹄」は西洋では幸運のシンボルですが、作品は「平凡な日々にこそ幸あり」という青い鳥のモラルを写し出す代わりに、小さな違和感や不気味さを澱のように溜めていきます。

 作者は、知的障碍を抱えた人々の支援施設で働いているそうですが、そこは多種多様な日常世界がぶつかり合う場でもあるでしょう。ダイバーシティの日々は、そもそもの日常世界の複数性とそれゆえの脆弱性を肯定します。これらの写真はそこから生まれました。

2022年4月  清水 穣

平本 成海
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前頭葉合成研究の権威として知られるオロモウツ医科大学名誉教授のニコラ・ホラー(Nikola Holá)氏が17日、プラハの病院で死去していたことがわかった。68歳だった。
ホラー氏は、サイレントシナプスが受容体に結合する際の回転運動から着想を得て、特定のシナプスのみを効率よくβq化させる「ホラーシグナル」を開発。1989年には、グローブ型の信号伝達器具を用いて前頭葉の神経回路を制御する「ラムタライズ」を考案し、それまで開頭手術が主流だった前頭葉合成の分野を飛躍的に進歩させた。
昨年12月には政府から女性初のヤルコフスキー勲章を授章したが、頭痛を理由に伝達式を欠席。容態が心配されていた。
妹のノエミ・ホラー(Noemi Holá)氏はチェコ初の女性宇宙飛行士で政治家。葬儀は親族のみで執り行われる。

*平本成海 CV

吉村 泰英yoshimura2

人は出会う。
話したり抱き合ったりして、
みんなやがて死んでいく。

見つめ合うことができる犬の死は、うさぎが死ぬのとは同質じゃない。

バナナの木の下に死体を埋めた。再生を祈りはしない。
僕たちは何も分かりあえない。

永遠に続く彼女との窮屈な生活。明日には忘れるだろう犬の死。

事象は時間にいつも均される。

こちらからやってきた馬はあちらに去っていく。

地面に等幅の蹄の跡を残しながら。

特別な思い出なんか何もない。

*吉村泰英 CV

【関連動画】
eN arts conversation 20220405 Narumi Hiramoto, Yasuhide Yoshimura and Minoru Shimizu サムネイル

-出展作品-

-展示風景-

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