たゆたう庭
山本 基 個展
2010年4月2日(金) – 4月30日(金)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
オープニングレセプション : 4月2日(金) 18:00 – 20:00
アポイントメント 承ります
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塩を作品制作に使用する 山本 基 は、現在(~4月11日まで)東京都現代美術館 MOT アニュアルに於いても展示されている「迷宮」シリーズを発表し続けています。塩を制作に使い始めて15年。固定させるものを全く使用せず展示発表する山本のインスタレーションは、小さなため息によってすら動いてしまう塩の儚さとは裏腹に、言語・文化・歴史的|宗教的背景の異なる様々な環境下で、そのバリアーを越えて鑑賞者を共鳴させるパワーを持ちます。
「たゆたう庭」では 京都 eN arts ならではの新展開を皆様にご披露致します。円山公園の桜や芽吹く樹々を愛で、生命の息吹を感じながら本展をご鑑賞下さい。
ロウ 直美 | eN arts
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塩で迷路を描くこと。これは私自身の記憶をたどる旅のようなものです。
多くの大切な記憶は、時と共に変化し、そして薄れていきます。しかし私は、写真や文章では決して残すことができない記憶の核心を、もう一度感じたいのです。迷路の行き着く先に私が求めているのは、そのようなものかも知れません。しかし、塩の迷路が核心に到達しているかどうかは、全てを描き終わるまで、私自身にもわかりません。なぜなら、それは描く途中で意図しない方向に曲がり、時に途切れてしまうからです。迷路は、私自身の心の動きや体調だけでなく、床のくぼみや湿度にも左右されながらかたち作られているのです。必然と偶然が絡まり合った塩の迷路。私は、作品が完成した後、それを静かにたどることにしています。
【塩】塩化ナトリウムを主成分とする、しおからい味のある白色の結晶。
食用・工業用に使用する。(広辞苑第5版)
このように定義される塩ですが、これ以外にも大切な役割を持ち、時代や地域を越えて人々の生活に深く結び付いてきました。 特に日本では、死の慣習に欠かせない物質です。妹の死後、私がその現実を受け入れるために行ったこと、それは、社会の中で死がどのように扱われているかを、作品を通して体感することでした。お経、脳死や終末期医療などをテーマにし、素材もテーマ毎に関連深いものを取り入れたのです。そして、葬儀に興味を持ったときに私が選んだ素材。それが塩でした。塩を素材として使い始めた当初、私は塩が日本で葬儀に用いられていることや、わずかな透明感を持つその白さに興味を持っていました。 (実際、塩は無色透明な立方体で、光が乱反射することで白く見えます)しかし、今ここで作品の一部となっている塩も、かつては、私たちの命を支えていたかもしれない。そんな思いを抱くようになった頃から、塩には「生命の記憶」が内包されているのではないか、と感じるようになったのです。塩を作品に使い始めて15年が過ぎましたが、私は今も特別な想いを寄せているのです。
山本 基
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-展示風景-