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水精 WATER SPIRITS

森山優子個展

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水精 – WATER SPIRITS
森山優子 個展

2008年9月5日(金) – 9月28日(日)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
オープニングレセプション : 9月6日(土) 18:00 – 20:00
アポイントメント 承ります

森山優子はイギリス在住のアーティストで、「水」をテーマに描き続けてきました。
凪の湖面、蕩々と流れる川面、美しい陽の光を浴びて鏡のように煌めく水面。そよぐ風に揺らいだり、時には、荒風にうねったりする波。森山の言う「神秘的な水」は、神の鉛筆という、実にシンプルなメディアによって、多種多様な表情を見せます。彼女の描く「水」に初めて出会った時、その水中の奥底に見え隠れするスピリチュアルなものを感じたこを、記憶しています。

本店では、鉛筆によるドローイングに加えて「サイアノタイプ」という、建築の資格を持つ、彼女らしい手法を使った作品もご紹介いたします。「サイアノタイプ」とは、かつて設計図等の製図複製用に使われた、いわば「青写真」です。撮影した写真のデータをコンピューター上で加工し、それをネガに直した後、太陽光等で感光させるという手法です。青写真の質感と水のイメージが絶妙なる調和をもって作品に反映されています。

「水精 – WATER SPIRITS」ご高覧下さい。

ロウ直美 | eN arts

水精 – Water Spirits

静かに目をとじると心の中に湖がずっと広がっています。その水は、暗闇の中でゆっくりうねっていることもあれば、青空の下で小さく揺れていることもあります。もしかしたら太古の昔、生物が水の中から生まれてきた頃の原始的な感覚かもしれません。多くの宗教は水を神聖なものとして扱っていますが、水には神秘的な何かを感じます。

1999年以来「水精 – Water Spirits」をテーマに絵を描き続けています。それまでは、建築の仕事をしていたのですが、その年より絵を本格的に描きはじめました。絵を描きはじめるにあたって、何か自分にとって根本をついていて、基本的なものは何かと考え、水をテーマに選びました。そして鉛筆と紙は一番身近に自分に感じた画材だったので、それを使い表現していこうと思いました。

1996年にロンドンのヘイワードギャラリーでのプリンツホーンコレクションの展覧会をッミマした。これは20世紀はじめいんハンス・プリンツホーンというドイツの精神科医が精神病患者さんの作品を集めたものです。題名「水精 – Water Spirits」は、その展覧会で見たアーサー・F・ベッカーの作品から引用させてもらいました。

「ベットにすわっていたら、水の中から、なんと言うか、妖怪のようなものが出てきた。そしてお母さんもそこにいた。彼らは半分人間で半分動物で、僕にはよく見えた。魔法のようだった。お母さんが僕を水の中に引き込もうとしたようだ。多分bくはこうして世界から連れ出されるんだろう。静かに横になっていると今もたまに起こる。空気の中にそれが見える。夕暮れの光りの中が一番良く見える・Water Spirits アーサー・F・ベッカー」

ベッカーの作品は鉛筆画と文で構成され、小さな鉛筆画は心の奥を見ているような迫力があり、強い感銘を受けました。ベッカーの作品を含め、この展覧会にはとても感動しました。恐ろしいくらい、そのまま心の向こう側が見えるような作品が多かったからです。私もそのような作品を作りたいと思っています。

鉛筆と紙という身近な素材でどれだけ奥行きのある作品ができるか、というのも私にとっての課題のひとつです。私は昔、物理の授業でニュートンの法則を学校で習った時にとても感動しました。この単純な方式を使えば、月に行くことができるということだったからです。一見単純に見える何かにとても深いものが存在するということはとても美しいことだと想います。鉛筆と紙を使い、どこか深いところに行きたいというのが私の目的です。

2008年7月 森山優子

PRESS RELEASE
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