「Transient Strata」
田中 真吾 個展
2026年9月4日(金)- 9月27日(日)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
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私たちは、物の構造をどのように認識しているのだろうか。陰影の濃淡から対象の厚みや奥行きを測り、質感から材質や硬さを推測する。脳は感覚器官が得た様々な情報から像を組み立て、認識を補正し続けている。では、それらの情報を取り除いたとき、残された対象から私たちは何を見いだすのだろうか。
今回新シリーズとして提示する《exposed fringe》は、燃焼させた紙を積層し、「露光過多」の状態で捉えた写真作品である。燃え残りの細部や陰影は眩い光の中に溶け去り、火によって生み出されたうねる縁(フリンジ)だけが画面に残される。奥行きを失った画面において、層をなす断片は一本の線として立ち現れる。その過渡的な線を境界として認識するとき、消失したはずの奥行きの向こうに新たな空間の深さが見いだされる。
私たちは線一本からでも想像を広げることができる。と同時に、捉えられる情報によって世界の捉え方は容易く移り変わっていく。
本展の作品群《exposed fringe》、《trans》、《transtructure》は、いずれも積層と焼失の往還の中で、揺れ動く知覚の働きを試行している。
田中真吾
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「Transient Strata」by 田中真吾
田中真吾 は、これまで一貫して火・炎・燃焼を様々な視点や多角的なアプローチにより表現しつつ、「燃焼」という現象を「消失」ではなく、新たな構造が立ち現れる契機として捉えてきました。
初期には、紙を燃焼させて残された煤や焦げ跡を描画として定着させる作品や、積層した紙が燃焼によって崩れ、新たな形態を獲得する立体作品を発表しました( https://shingotanaka.net/ )。そこでは火は単なる表現手段ではなく、人間の意図を超えて物質へ働きかける現象として扱われていました。素材が変質し続ける時間を作品へ取り込み、完成された造形ではなく、生成と消失が交錯するプロセスを提示するという独自の展開を見せてきました。
近年 田中の関心は、燃焼という現象から、それを認識する私たちの知覚の働きへと向かっています。
本展で発表される新シリーズ《exposed fringe》は、燃焼した紙を重ねて層とし、極端な露光によって撮影する写真作品です。通常であれば物体の厚みや質感、陰影として知覚される情報は、過剰な光によって失われ、火が刻んだ複雑な縁のみが画面に浮かび上がる…即ち 光で火を消す という新発想に挑みます。
私たちは、陰影から厚みを、質感から硬さを、輪郭から空間を推測しています。しかし、それらの手掛かりが取り除かれたとき、知覚はどのように対象を再構築するのでしょうか。《exposed fringe》は、写真という二次元のメディアを用いながら、むしろ鑑賞者の内部で空間が生成される瞬間を浮かび上がらせる試みのようにも感じられます。
本展タイトル「Transient Strata」が示すように、田中の作品における「層」は固定された堆積ではありません。紙を重ね、燃やし、崩れ、重ね合わせる(人工物⇄自然現象⇄人工物を繰り返す)ことにより生じる層であり、それらを最終的にカメラで切り取り写真作品としたものが 《exposed fringe》シリーズなのです。
本展では、新作《exposed fringe》に加え、《trans》《transtructure》各シリーズより新作を発表します。
積層と焼失、構築と崩壊を往還するこれらの作品群は、私たちが理解していると信じる認識の基盤を静かに揺さぶることでしょう。
eN arts | ロウ直美
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-出展作品-
-展示風景-
