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showcase #3 “日本の肖像 Japanese Portraits”

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showcase #3
“日本の肖像 Japanese Portraits”

石川竜一 内倉真一郎 原田要介

2014年6月6日(金) – 6月29日(日)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
オープニングレセプション:6月6日(金) 18:00 – 20:00
アポイントメント 承ります

 eN arts では、清水穣氏のキュレーションによります、写真に特化したグループ展 “showcase #3” を開催いたします。展覧会のタイトルが示す通り、現代若手写真家の「ショーケース」となるこの展覧会は2012年からスタートし、今回でシリーズ三回目となります。
“showcase #3”のテーマは「日本の肖像- Japanese Portraits」です。一歩間違えると凡庸になりがちなポートレートですが、本展の為に選ばれた、石川竜一、内倉真一郎、原田要介が、三者三様のユニークなア
プローチでとらえたポートレートを展示いたします。
是非 御高覧下さい。

ロウ直美 | eN arts

PRESS RELEASE

showcase #3 “日本の肖像 Japanese Portraits”
清水 穣

若手の作家にはポートレートを撮る人が少ない。いや、いるにはいるのだが、凡百の作家にとってポートレ
ートとはアイデンティティの露出(A さんのその人らしさが良く出ている)であり、発見であり(A さんに
こんな側面もあった)、あるいは人間性そのものの同定(A さんを通じて人間の尊厳を感知する)に他なら
ない。

対照的に、数少ない優れた肖像作家は、同一性アイデンティティ (identity) ではなく同等性セイムネス (sameness) によって写真を撮る。同一性の「同じ」が主語に関わる(「私」は「私」であって「あなた」ではない!)とすれば、同等性の「同じ」は、述語に関わっている。裸になれば、病気になれば、死ぬときには「同じ」、欲情する、排便する、男である、女である・・・点で、あなたは私と「同じ」だ、と。同等性
セイムネスは、個体のアイデンティティの輪郭を崩して連続させることであり、越境的でスキャンダラスである。このように、本来ポートレートというジャンルは、不快で(おまえと一緒にするな!)タブー侵犯的でもある(娘を女としてみる父)性質を備えている。

さて、「日本人である」「日本で暮らしている」点で、我々は「同じ」だ、と。しかし 311 以降、この「同
じ」であることに対して、我々はあえて意識的になり、ときに不快感を覚え、シビアにその条件を問うよう
いなっている。顕著に反動化した目下の日本社会において「日本人である」「日本で暮らしている」ことの
同等性が、「日本人」「日本」というアイデンティティ・ポリティクスに飲み込まれつつあるからだ。「日本
人」のアイデンティティではなく、いまの時代に「日本人である」「日本で暮らしている」ことの同等性を
写し出す、三者三様の写真をセレクトした。

RI-PH-14-004

石川竜一(1984-)は2012 年度キャノン写真新世紀佳作(清水穣選)。「海の邦」として多重的な歴史をは
らんだ場所、沖縄に生きる人々を真正面から見据えた『Okinawan Portraits』で注目された。暴力的、セ
クシー、貧しくてゴージャス、ヤクザで生真面目、絶望的で楽観的・・・矛盾しあう様々な特性が、それぞ
れの肖像のなかでぶつかりあっている。

SU-PH-12-003

内倉真一郎(1981-)は2010 年度(清水穣選)、11 年度(大森克己選)、13 年度(椹木野衣選)キャノン
写真新世紀佳作。被写体のアイデンティティを消去して、徹底的に自分の美意識に引きつけて演出した肖像
写真群は、嘘が明らかすぎて、逆説的に途方もなくストレートである。

YH-PH-14-001

原田要介(1982-)は2012 年度キャノン写真新世紀グランプリ。多重的な歴史もなく、強烈な演出もない、
むしろ凡庸な日常生活の中で出会う人々のポートレート。特別親しくもないが他人でもないような距離感の
他者、むしろその不在(死、病気、転居・・)によって気がつかれるような他者の、存在感なき存在の密度
を、独特の間合いと余白で定着する。

清水穣(しみずみのる)
写真評論家。定期的にBT 美術手帖、Art It といった雑誌やWeb、写真集、美術館カタログに批評を掲載。主な著書に『写真と日々』『日々是写真』『プルラモン 単数にして複数の存在』(現代思潮新社/2006 年、2009 年、2011 年)など。

アーティスト ステイトメント(五十音順)

石川竜一
2年前に写真新世紀で清水穣選佳作を受賞した[okinawan portraits]では、沖縄の文化や社会状況を背景と
した、人の抱える矛盾と、力強い生の様をテーマとしました。そして、そのなかから当然のように立ち上が
ってくる思い。その人の更に個人的なことへの関心と、その逆である、人を取り巻く、状況や背景への関心、又は、集団のポートレイト。この展示では「okinawan portraits」と後者の「okinawan portraits 2」を中
心に、自主制作写真集のスナップを含めたなかから清水穣氏にセレクトして頂いた25 点を展示させて頂き
ました。

CV 石川竜一

内倉真一郎
「人間図鑑」人間図鑑 様々な人種・職種また、その人の人間性を写す事が目的ではありません 。撮影する
私が被写体を支配する事です。昆虫のコレクションのように、私の人間コレクション。私が創り出した「人
間図鑑」。よくポートレイトはその人の個性や、人となりを引き出すように撮るなどありますが、この作品
はまったく逆です。私は自分のイメージのなかへ、その人物を押しこむように撮っています。時に私は、写
真のなかに人間を創りだす神である必要があります。

CV 内倉真一郎

原田要介
私はその人を見る。しっかりこちらを見てもらって、しっかり見ようと目を凝らしても、だんだん私が見て
いるのか、見られているのか、きちんと見れているのかよくわからなくなる。その人は私を見るかのようで
いて実際はレンズを見ている。その人の見るもカメラの奥に隠れた私の目には辿りつけずに視線が宙づりに
なる。行き場の定まらない2つの見るは、カメラを通して直線的に見つめ合うことはないが、見る/見られ
る の鬩ぎあいの中で、あわいで融け合って揮発していく。

CV 原田要介