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「す  あ。 ラ   火  一  見   極」 - 解体と構築の同時性 -

田中真吾個展

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「す  あ。 ラ   火  一  見   極」-
 解体と構築の同時性 -
田中真吾 個展

2014年10月3日(金) – 10月31日(金)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
オープニングレセプション&NUIT BLANCHE : 10月4日(土) 18:00 – 22:00
アポイントメント 承ります

 

“すべての現象のうちで、火はまったく異なる二つの価値、すなわち善と悪とを同時に文句なく受け入れることのできる唯ひとつのものである。それは己自身と矛盾することが可能なのだ。だからこそ、それは普遍的な説明原理のひとつとなるのである。” ―ガストン・バシュラール「火の精神分析」より

「re:trans」では、かつて何かの目的を持っていた廃棄物や、自身の過去作を含めた多様な素材を解体し、組み直すことから制作を始める。意味や用途を失い、断片となった素材を構築していく過程で、火を用いて再度解体を促す。燃やされた物質は、表皮を剥がされたように黒く変色し、あるいは溶け、割れることでグロテスクな表情を露呈しながらも、人の手では生み出しえない魅力を持った表情と、個々の断片が一様に燃焼することで、再び繋ぎあわされたような視覚的効果を獲得する。

千切られた紙や木の板、打ち捨てられた廃棄物など、その一つ一つは見向きもされない断片である。しかし、それらが重なることで形を与えられ、燃焼による過程を経ることで新たな魅力を持つのならば、相反するように思われる〈解体(破壊)-再構築(創造)〉という二極の価値が同居するところに、新たな表象が立ち現れる契機が含まれているのではないか。

田中 真吾

一貫して「火」を題材、メディアとして用いながら、立体・写真・平面と幅広い切り口で存在感ある作品を発表し続ける田中真吾による展示。本展は re:transシリーズの新作に加え、transシリーズを用いたインスタレーションで構成される。

これまでにも制作を続けてきたre:transシリーズでは、物としての機能を失った廃棄物を解体し、新たな造形へと組み替え、さらに火で燃やされて再度解体構築される。燃焼による物質としての部分的消失(解体)と、火の痕跡によってかけらが繋ぎ合わされる(構築)という二面性は、火の特性である善と悪の相反する2つの要素をも描き出す。

またこれまでのtransシリーズではニュートラルな幾何学の支持体を火で燃焼させることによって、火が引き起こす「変質(trans)」という現象を提示し続けてきた。re:trans、transの各シリーズでは、それぞれのシリーズにおける制作過程で互いに還元しあい、新たなる作品が生み出されてきた。昨年度の個展で展示したre:transを経て、transシリーズも新たな局面を迎える。

田中真吾独特の世界を堪能していただける「す あ。 ラ 火 一 見 極」を、是非ご高覧下さいませ

Yoko Kuwahara | eN arts

PRESS RELEASE
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